ハムスターと糖尿病

2018/04/17

ハムスターの生態 ハムスター知識 飼育情報

【注意】この記事はハムスターの糖尿病についての情報が書いてあります。ここに書いてある症状がないから糖尿病じゃないとも、逆に当てはまるから糖尿病だとも言い切れません。あなたのハムスターの様子が違ったり気になる時はすぐにエキゾチックアニマル専門獣医さんに相談してください。
びーん
北米でよく注意をするように言われているハムスターの病気はご存知ですか?それは糖尿病です。この事はコロとチロを引き取る際に事前に調べていたので、お迎え直後はハムスターの食事にかなり神経質になっていました。そんな北米では必ずと言っていいほど話題に出てくるハムスターの糖尿病ですが、日本ではあまり馴染みがないかもしれないので今回、少し紹介したいと思います。

糖尿病になりやすいハムスター

まず、なぜ北米でハムスターの糖尿病が話題に上がりやすいのかと言うと、こちらではジャンガリアンよりもキャンベルハムスターが多いからです。シリアン、ジャンガリアン、キャンベル、チャイニーズ、ロボロフスキーの中で糖尿病になりやすいハムスターがキャンベルハムスターとその血を引くジャンガリアンとキャンベルのハイブリッドなのです。他にもチャイニーズハムスターと特定地域出身のジャンガリアンハムスターもかかりやすいとも言われていますし、これら以外の種類のハムスターがが全く糖尿病にならないと言うわけではなく可能性が低いだけのなので、どの子も気を付けて観察してあげてくださいね。

糖尿病の種類

糖尿病はインスリンというブドウ糖をエネルギーに変える物質の働きや分泌が原因で引き起こされます。これには以下の二つのタイプがあります。

一型(タイプ1)

一型糖尿病は膵臓がインスリンを分泌できないタイプです。一説には自己免疫による問題でインスリンを分泌する細胞を体が攻撃してしまい、結果インスリンが分泌されないと考えられてもいます。そのため普通ならインスリンがブドウ糖を体内で必要な働きに変えてエネルギーにするのですが、この代謝が行われずブドウ糖が血液の中でたまるため血糖値が高くなってしまいます。そうなるとハムスターの体内ではブドウ糖の代わりに脂肪と筋肉繊維を使ってエネルギーを作るようになり、このせいでハムスターは痩せ細ってしまいます。この一型糖尿病の症状は大体生後3〜4ヶ月の早期に顕れ、遺伝性の場合が多いですが違う理由で発症する事もあります。

ケトンとケトアシドーシス

この聞きなれない物質は一型だけに見られます。上記にあるようにブドウ糖の代わりに脂肪を使ってエネルギーを製造するるようになるとケトンと言う物質が作られ血液中や尿に現れます。そして、ケトンで血液を酸性に傾いた状態をケトアシドーシスと呼びます。この状態はとても危険な状態なので獣医さんにすぐに見てもらわなくてはなりません。

二型(タイプ2)

二型糖尿病の場合はインスリンを分泌してはいるものの量が少ないか、インスリンの働きに対して体の反応が鈍くなるタイプです。このタイプは食生活を含む生活習慣と関連しているので肥満気味のハムスターに起こりやすいですが、遺伝的な原因の時もあります。早期対策として食生活改善や運動促進をすることによって深刻な症状に発展するのを防ぐことができます。生活習慣と関わりが深いこのタイプはは発症が遅く、遺伝性が多い一型よりも発症しやすいタイプのようです。

糖尿病の症状


食欲増加

インスリンのブドウ糖を必要な細胞に取り込む役割が鈍いため細胞からは「空腹」の信号が出続けてしまい、食べる量が増加します。

体重減少

上記にもあるように一型に多いですが、体が脂肪や筋肉を使ってエネルギーを作り始めるので普通に食事をしているのにも関わらず体重の減少につながります。体重をこまめに計り短期間で10%以上の体重変化がある場合は気を付けてください。

頻尿・過多飲水

体外排出のろ過の役割の腎臓が高くなったブドウ糖を大量の水分を利用して再吸収しようとし尿の量が増え、そのため水分の摂取量も増えます。

尿の甘い匂い

高濃度のブドウ糖が尿に混じるため甘い匂いがしたり、時にはアリを引き寄せる事もあるそうです。

活動過多、または倦怠感

体の糖尿病処理状態によって運動が活発になったり動きが鈍くなったりすることが入れ替わることがあります。

糖尿病の検査方法

検査方法は獣医さんに見てもらう事もできますし、自分で行う事もできます。一番簡単な方法は人間の糖尿検査紙を使う事です。日本では以下の様なものが売ってます。
参考文献のホームページでは「糖尿病になりやすい種類のハムスターは1ヶ月に一回確認するとよい」とアドバイスをされていますが、僕は体重の変化が激しい時や飲水量が普段よりも多い時に確認しています。かなり大量の検査紙が入っているので気兼ねなく使えますが、使用期限があったりするので注意してください。

採尿する際は、尿を採ることに必死になりすぎてハムスターに余計なストレスを与えない様にも気をつけてくださいね。もし、こちらで陽性だとしても糖尿病ではなく別の原因の可能性もあるのでそれも覚えておいてください。

糖尿病によって引き起こされる別の病気

もし糖尿病のハムスターが適切な処置を受けずにいると心臓や神経に問題が生じたり腎不全を起こしたり、さらには白内障や失明を起こし最悪のケースでは死に至る事もあります。他にも異常に伸びた爪やケトアシドーシス、膀胱炎、脱水症状、多尿による膀胱への怪我などが引き起こされることもあります。

治療・食事改善方法

僕が参考にした文献にはかなり詳しく食事改善方法や治療の体験談が記載されてありましたが、ここではあえて省きます。と言うのも、インターネットの情報を試すよりもしっかり獣医さんと相談して治療方法を決めるべきだと思っているからです。その上で更に他の方が試した改善方法を読んでみたい方は英語ですが参考文献をごらんください。

おわりに

うちではびーんが運動をしない、爪が伸びきっている、水をよく飲むと言った糖尿病っぽい症状を発していますが、試験紙では陰性でした。ただ、やはり心配なので近々再確認し、最悪の場合は病院で尿と血液を採ってもらう覚悟もしています。

結局、頼りになるのは専門的な獣医さんなので皆さんも心配な場合はすぐにかかりつけの獣医さんに見てもらってくださいね。あと、糖尿病は遺伝性があるので糖尿病と診断された子の交配は避けた方がいいと思います。

参考文献

Dashing Hamsters: Diabetes in Hamsters
The Pipsqueakery: Diabetes in Dwarf Hamsters
糖尿病がよくわかるDMTOWN(人間用)
インスリンと血糖(エキスパート患者会)(人間用)