保護ハムスターを引き取ること。

2019/03/31

ハムスター知識 ハムスター日記


 2018年8月の最終日にチロが旅立ってしまい、現在うちにいる子達は全員保健所から引き取った子達となりました。保健所から来ようがペットショップから来ようが、かわいさは全く変わりませんが、今回は日本ではまだ珍しい保健所で保護されたハムスターの引き取りについて書いていこうと思います。

国が変われば動物に対しての考え方も変わる


 動物愛護などは国が違えばもちろん考え方なども違い、動物に対しての条例なども違ってきます。例えば、僕の住んでいるバンクーバー市では2017年に犬・猫・うさぎのペットショップ販売を禁止しました。その前から動物愛護に賛同した大型ペットショップなどでは販売用の犬猫を見かける事はなかったのですが、これが遂に条例として市内全てのペットショップで禁止になったのです。概要は英語ですがこちらになります。

 この条例のため犬猫をペットショップで見かけないかと言うとそんなことはなく、大型ペットショップなどでは保健所から保護動物たちを預かり、新しい家族が見つかりやすいようにとお店に置いてあげています。なので、完全に動物と暮らす事が禁じられたわけではなく、保健所で家族を待ってる子達を優先する仕組みになったのです。ですから、ペットフードや動物用品だけを取り扱うペットショップは数多く健在してますし、個人ブリーダーは販売を続けられるようです。

 他に日本とは違うところは飼育数制限があり、ハムスターなどの小動物だと1軒で6匹以上を飼育してはいけないと決められています。これは1種の制限数が6匹ではなく、他の小動物との合計数が6匹を超えるといけないので、4匹のハムスターと3匹のモルモットでもアウトです。かと言って、苦情がない限り家に調査に来るわけではないのでグレーゾーンなのですが…詳しくは動物条例の7.5をご覧ください。

保健所の様子


保健所の仕組み


 カナダの保健所は政府が経営しているわけではなく、無利益動物保護団体が経営しており、僕の住んでいる州で一番大きいのはBC SPCA(British Columbia Society for the Prevention of Cruelty to Animals)という組織です。この保護施設は大体、各市に1つずつ支部があり、保護対象動物は犬・猫・うさぎだけでなく、馬や豚からハムスター、モルモット、ラット、マウス、レプタイルなど様々です。この他にも違う団体が経営している保護施設もありますし、犬や猫などだけに保護対象を絞っている団体もあります。

 市にも動物管理局はありますが、ここでは車に轢かれて亡くなってしまった動物の亡骸を回収したり、野良犬、野良猫や屋外に捨てられた小動物などの保護を主に行っており、飼い主が飼育不可能になった生き物の持ち込みは受け付けていないのが特徴です。

里親になるには


 まず、引き取りたい動物が保健所や動物管理局にいないことには話にならないので、Petfinderという北米の保護動物検索サイトで検索をします。それぞれのホームページやSNSで探すこともできますが、Petfinderが一番簡単に検索することができます。

 引き取りたい動物がいる事を確認したら、その子がいる施設に向かい、引き取りたい子に直接会います。どの施設でも引き取る前に、希望動物に実際に会うことが最低条件となっています。直接会って里親になる事を決めると、里親希望用紙に必要事項を記入します。

 里親審査は施設によって違いますが、どの施設も1番に応募したから里親になれるとは限りません。団体が『適当ではない』と判断した場合は、たとえ応募者が自分だけでも引き取ることができませんし、後から応募した人の方が適当だと判断された場合は、その人に決定することもあるみたいです。BC SPCAではハムスターの場合は、大体すぐに審査をして、問題がなければ小一時間ほどで引き渡しに移りますが、他の施設では数日かけて応募者を待ち審査を行ったり、保証人に連絡を取り身分確認をしてから審査を開始するため時間がかかる所もあります。

 さて、無事に審査が通ると引き取り料を支払い一緒に帰宅することができます。値段は団体や支部によって様々ですが、このお金は団体の活動資金になる上に、ある程度の金額を払うことにより、小動物が生き餌として引き取られることも避けられます。もし財布に余裕があれば多めに募金として渡すこともできます。

 今までいくつかの保健所や動物管理局に出向いて気になったのは、働いてる方のハムスターに関しての知識が少なさです。ぷりんの記事で書きましたが、働いている方の無知のせいでぷりんは『懐かせるため』と追いかけ回されましたし、中には赤ちゃんを守ろうと攻撃的になったため安楽死されてしまった子もいます。因みに、ポテトも保健所では『ロボロフスキー』として紹介されていました。もちろん働いてる方やボランティアの方は動物のことを大切に思っているのは分かるのですが、『ハムスター専門』の方が殆どいないため気が気でなりません。

他にハムスターを引き取れる場所


 北米では保健所などだけではなく、実は大型ペットショップでも売れ残ってしまった子や性格に問題あるとされる子、あるいは病気などでバックヤードに下げられてしまった子も『保護』として引き取ることが可能なのです。ただ、この子たちは裏に隠されてしまっているので、店員さんに尋ねる必要があります。

保健所などから引き取る覚悟


 保健所にいる殆どの子は彼らに関する情報がありません。誕生日はもちろんのこと、保健所に来る前の飼育環境や病気歴もわかりません。なので、特定の行動が過去のトラウマによるものなのか性格なのかを見極めるのが難しいです。更に年齢も成人した子が多いので、過去にトラウマなどがある場合は克服するのにも時間がかかります。ただ、彼らのかわいさ、尊さにはどこから来ようと同じなので、彼らのペースを尊重し一緒に暮らせる余裕があれば楽しく暮らしていけます。

 …と今だから格好良く言えますが、最初にむすびとびーんを引き取った時は、赤ちゃんの頃にペットショップからうちに来たチロとコロと比較してしまい、彼らを本当の我が子に思えるまで時間がかかってしまいました。チロとコロはうちに来てからすぐに自分たちに馴れてくれたので、むすびとびーんも愛情たっぷりで世話をすれば、すぐに馴れてくれると変な自信や期待がありました。そのため、なかなか彼らが僕らに心を開いてくれずいて焦ってしまい、距離感を感じずにはいられませんでした。しかし、「これがむすびとびーんなんだろうなぁ。2人が怯えず幸せに暮らせればそれでいいや」と思った瞬間にすっと彼らを本当の家族として受け入れれた気がします。今では他の子に負けず劣らず大切な子たちです。

 その後、保健所から怯えきったぷりんを引き取った時は、余計な期待はせず、ただただ、彼女が安心して幸せに暮らせる環境づくりだけを心がけ、触れ合うことは殆ど諦めていました。臆病なぷりんを最初から受けれてたため、ぷりんは最初から我が子の様にかわいくて仕方がありませんでした。一応、病院などでの診察時の事を考え、最低でも手は怖がらないように、おやつは手の平からあげるようにだけはしていました。そうすると、あんなに怯えていた子が半年経つと手の上でウトウトしてくれたり、最終的には爪まで切らせてくれる甘えん坊になっていました。

 そして、最近保健所から引き取ったポテトは最初から愛想が良く人懐っこく、あっという間にうちの生活に慣れてくれました。結局、保健所でも様々な性格の子がいるため、ペットショップから引き取るのとあまり変わらない気もします。責任を持って最後まで何があってもお世話をする覚悟さえあれば。

日本で保護ハムスターを引き取れるところ


 実はあまり有名ではありませんが日本でもハムスターを保護している施設があるのです。それは、大阪府の動物愛護センターで、ここでは小動物などを保護して里親を探しています。このセンターの存在を初めて知った時は感動しました。現在(2019年3月末)はハムスターはいませんが、数年前に僕がこのセンターの事を知った時は4〜5匹のハムちゃんが保護されていました。

 他にもハムスターを保護してくれてる施設は日本にあるのかもしれませんが、今の所、存じてません。もし、知ってる方がいらっしゃったら教えてください。

おわりに


 保健所からのハムスターの引き取りを強要するわけではありませんが、もし1匹でも幸せなハムスターが増えるのであれば、こういう施設や機関が日本でも増えると嬉しいと思います。今はペットショップの子も保健所の子もみんなが幸せになり、無理な繁殖などが減る事を願うばかりです。