正しい飼育情報とは。

2021/01/17

ハムスター知識 飼育情報

  遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。新しい家族が増え、幸先が良いころぱぱ家ですが、今年も頑張ってのろまブログを更新していこうと思っているので、宜しくお願いします。


 テクノロジーなどの進歩により、沢山の情報で溢れかえっている近年、僕みたいに誰でも簡単に情報を発信したり、ハードルは少し高いですが意欲的な方は本を出版することも、昔より敷居が低くなった気がします。ただ、簡単に大量の情報が手に入るようになった分、正しい情報とともに、間違った情報や根拠のない情報もあっという間に広まってしまうと言う側面を持ち合わせてます。こうなると、どの情報が信頼できるかを判断するのは難しいですよね。


 今回は多大にある情報から、どうやって自分の愛ハムちゃんに適した飼育情報を見分けるかに役立てるような内容を書いていきたいと思います。


ネット情報より書籍?


 まず、媒体ですが、ネット情報と書籍、どちらがいいのでしょう?

 僕はどちらも選び方次第だと思います。出版された書物であるから書いてある情報が全て正しい(良い)とは限りませんし、ネット情報だから全て鵜呑みにしてはいけないと言う訳でもありません。書物を出版してなくてもすごく膨大な情報を持ってらっしゃる方もいれば、一部首を傾げてしまう情報が載っている飼育書も少なくないと言うことです。どちらの媒体にしてもある程度信頼できる発信源かを見極め、その中で理にかなった情報を適所で駆使するのがベストかと思います。

 発信源の見極めの判断材料として、書籍であれば出版社、出版年、著作者と監修者の経歴、情報源などを重要視し、文章系のネット情報であればサイトの信憑性、投稿日、筆者情報、そして情報源などに気をつけます。

 どちらの媒体であれ、僕の信頼度が一番左右されるポイントはキャンベルハムスターについてです。キャンベルハムスターがまだ主流にはなってない日本では、書籍でもネット情報でも彼らについて間違った表記が多いのです。例えばハイブリッドの写真を堂々と掲げてキャンベルとして紹介してる物もありますし、イエロープディングをキャンベルとして紹介してある物もあります。毛色に関してもシリアンの毛色をキャンベルに当てはめて、一般的なキャンベルの毛色として存在しないもの紹介してる物もあります。これを見るとその書物・情報、そして著作者・監修者への信頼度が僕の中で一気に下がります。もちろん、割り切って読んでるつもりですが懐疑心は拭えません。

書籍の場合

出版社・出版年

 ある程度名のある出版社から最近発行されたものだと、新しい情報が載ってる可能性が高くなります。ただ、これは可能性の話で、一概に新しい飼育本に書いてあることが全て正しいとは言えません。出版年が新しくても、古い飼育書からの使い回しを多用されている場合も多いです。

 例えばキャンベルハムスターについての記載。近年でこそキャンベル愛好家さんのお陰で人気が出てきましたが、未だに『気が強い・攻撃的・懐きにくい』などと言った個体差を無視した乱暴な紹介文を見かけます。そして、ケージサイズについても日本の認識が北欧米から遅れているのは、飼育書には40センチをドワーフ、50〜60センチをシリアン向けと記載されていることが原因だったりします。北欧米の推奨ケージサイズについては以前書きましたが、ハムスターの運動量と比例して、大きく伸び伸びと過ごせることに越したことはないと考えられています。うちのロボロフスキーも2人とも80センチ幅のケージをそれぞれ元気よく駆け回っていますし、たくさん隠れたり遊ぶ場所もあるので安心して過ごしているようです。

著作者・監修者

 著作者や監修者がエキゾチックで有名な先生だったりすると、今まで沢山のハムちゃんを診て来た経験や豊富な知識から内容に説得力があります。しかしながら、ツイッターでMika@ねずみ絵描きさんがうまく呟かれてるのですが、下記のことも気に留めて置いてください。

 これはこのブログにも当てはまることですし、僕自身も自分の感覚に合う内容の飼育本を好む傾向にあります。なので、違う方によって書かれた飼育書と読み比べたり、想像力を使ってハムスターの立場に立って、その時一緒に暮らしてる子にあった飼育方法選択をすることが大切だと思います。

情報源の記載

 盗作問題などを防ぐために、北米の大学では嫌という引用の書き方を叩き込まれます。書籍はもちろんブログやネット情報もこれの対象になっていて、少しでも自分の経験など以外から得た知識や情報を記載する場合は、著作権の関係から情報源(引用元)を絶対に書かなくてはいけないんです。いい例に、日本語にも翻訳された『ハムスター―飼育・繁殖・ショーのための完全マニュアル』と言う本があります。この本の後ろの方には、ちゃんと引用・参考文献がリスト化されています。(因みにこの本の内容は飼育本と言うよりは、ハムスター繁殖家向けの本なので、内容も少しみなさんが知りたい内容とはかけ離れてる部分が多いと思います。)

 日本の飼育書では参考文献が記載されているのは残念ながら殆どないですが、もしあった場合は参考文献も読んでみると、より明確な根拠を得ることができると思います。

ネット情報の場合

サイトの信憑性

 先述した通り、今や誰でも簡単にブログを書いたり、簡易なサイトなら作れてしまうので、どうやってそのサイトを信頼するか見分けるのは大分難しいです。個人的には、どれだけそのサイトに管理人の情熱やハムスターへの愛情が注ぎ込まれてるかで判断します。今まで見た日本のハムスター情報サイトの中で僕が一目置いているのはハムスター専門サイト「ハムエッグ」さんです。情報の量もですが、ひとつひとつの内容が論理的だったり専門的だったりして、とても説得力があります。もちろん、すべて鵜呑みにするのではなく、他の信頼できそうなサイトや書籍の内容と見比べて判断をします。

投稿日と筆者情報

 書籍の項目で書いた通り、いつ書かれたのかは大切になりますが、それと同時に誰が書いたのかもすごく重要になります。特にブログ形式の物は複数の人がサイト管理人に雇われて書いていたりするので、別の人たちに書かれた記事同士で矛盾してしまっていたり、あまり統一性のない内容だったりすることもあります。もし、僕のブログみたいに個人で書いていて、SNSのアカウントなどをリンクさせてある場合は、そちらで筆者の情報を得ることができるので、良い判断材料になると思います。

情報源

 情報源の記載はそのネット情報を判断する上でかなり重要になってきます。こちらも書籍の項目で述べた通り、本来、飼育書を参考にしたり、他の信頼性のある情報をネット上から拝借した場合は、自分の言葉に直したりしていても情報源を提示する必要があるのです。先ほど参考にあげたハムエッグさんは個人の経験が多く反映されているため、参考文献がないですが、それに伴う管理者さんの知識がふんだんに散りばめられています。なので、個人的に参考にできるものが多いと僕は判断しています。
 
 参考文献がしっかり記載されているサイト例としては『繁殖之道〜ハムスター繁殖者への学習支援』があります。管理人さんがしっかり勉強している内容が伝わって来ますし、コンテンツも充実しているので安心して読むことができます。かなり長い間放置状態になってしまってるのが本当に残念です。

 ドイツのブリーダーのStefan Krähさんのサイトのブログの内容も、下の方にしっかり文献記載がされています。逆に言えば、このような情報サイトで情報源記載がされてない物は明確な確証がない可能性が高いです。

 守秘義務の関係で詳しい内容は書けないのですが、以前、某ハムスター支援団体でお手伝いをさせていただいてた時に、よく耳にし、自分たちも普通に考えて、その内容や考え方が正しいと認識していた情報があったのです。ある時、メンバーの1人が『道理的には理解できるけど、それって確証あるのかなぁ?』と言いだし、みんなでその情報の医学的・科学的確証になる根拠が記述されている物を日本語と英語の両方で探しました。ところが、実際はどこにも記載されていなかったのです。ネット情報として、ブログ系情報サイトではいくつも見つかったのですが、専門家や獣医さんによって記されたものは1つもなく、数十冊を超える飼育書も手分けして読み直しましたが、どれもその情報には触れてませんでした。その後、複数の有名なエキゾチック専門獣医さんにも問い合わせたのですが、獣医さんたちの間では全く認識すらされてない情報だと言うことがわかりました。

 この様に一般的に浸透しているが、実際どこから来たのか分からない情報も溢れているので、ネット情報を発信する人は情報源記載を徹底するべきであり、読む方は情報源の記載がない物に関しては自己の判断をする必要があります。

ネット情報の利点

 1つネット情報が書籍よりも優っている点をあげると、管理者さんや筆者さんへの連絡が取りやすさです。礼儀を持って疑問点などを投げかけると意外と早く返事をくださる方も多いみたいです。知り合いが以前、とあるサイトに一部の記述内容の誤りを指摘するメールを送った際も、すぐに筆者の方から返信があり、誤りを確認したのち即座に訂正されたとの話を聞いたことがあります。やはり、対応の早さや事実に対する間違いを潔く認める姿勢は、正確な情報へのこだわりが感じられます。残念ながら中には『自分が正しい』との一点張りで、確証のある情報を受け入れることができない方もいるみたいですが、これはこれでそのサイトの情報の信憑性の判断基準になると思います。

動画系ネット情報

 ネット情報と言えば、YouTubeなどの動画サイトで情報を発信してる方も増えてきています。こちらも、基本は上記した内容と同じで、発信者の素性や投稿日などをまず見てみることをお勧めします。そして、発信者がその飼育方法に至った参考資料があれば動画内で明記するなり、概要欄にリンクを貼るなりするのが基本ですので、それがなされてない場合は、飼育の一例として見るくらいがいいのかもしれません。

他の情報源

経験談

 上記以外の情報源の1つは経験談です。オンラインでハムスター情報を探しているとたまにハムスター日記ブログなどに遭遇すると思います。この方達は誰かに自分の考えを飼育情報として提供しようとしているわけではなく、個々がハムスターを通じて経験したことを綴っているので、逆に参考できるヒントがたくさんあります。ある意味、飼育本や飼育情報サイトよりも実際の経験に基づいた記録が事細かに記載されていたり、実践的で役に立つ情報がたくさん記載されていたりします。

 他にも僕がハムスターと暮らし始めてすごく助けられたのは、長年ハムスターと過ごし、常にハムスターに関する新情報を取り入れてる愛好家さんたちの存在でした。これらの方は絶対に意見を押し付けてくるのではなく、普段は優しく見守ってくださりながら、こちらに助けが必要になると、的確な情報を提供してくださったり、体験談を共有してくださります。一番驚くのはこの方達の情報網なんです。
 『どうやって見つけた?』
 と思わず突っ込んでしまいそうな情報を持っている上に、それらの情報は根拠がしっかりしているものが殆どなのです。

正しい飼育情報とは?


 結局のところ正しい情報は存在していても『すべてのハムスターに合う正しい飼育情報』となると絶対となるものはないと思います。個性豊かなハムスターですので、今まで迎えた子達に合ってた飼育方法が次の子に合っているとは限りません。その子の性格などによって、自分の知識や信頼できる人から得た情報織り交ぜて、ハムちゃんの立場で考え、明らかな危険や不便を排除した最善の環境を与えてあげる柔軟さが『正しい飼育方法』となるのかもしれません。

 広いケージを謳っている我が家でも性格や年齢に応じてサイズを変えたり、回し車の設置法や床材の量も個々にわせなどに細々と適応しています。結局、彼らは与えられたものでしか生活できないですから、彼らの幸せは人間家族次第です。

 大切で尊い小さな命。しっかり考えて守っていきましょう。